
生物を守り、ごみを资源化。
海から世界を変える滨罢翱颁贬鲍の挑戦。
长崎県対马市の海岸に打ち上げられる、海洋プラスチックごみ。?
それらをアップサイクルする取り组みを行っているのは、
総合商社の伊藤忠商事だ。?
プラスチックの取り扱い量が“世界2位”の公司だからこその责任とは。
illustration NAOMI NOSE text CHIHIRO KURIMOTO edit NANA OMORI
海洋プラスチックごみの资源化までの道のりと课题。
日本海に浮かぶ长崎県の离岛、対马。リアス式海岸や原生林などの豊かな自然を夸?る美しい岛だが、その海岸に、今、多くの海洋プラスチックごみが打ち上げられていることを知っているだろうか。それらのプラスチックごみをアップサイクルする取り?组みをはじめたのは、伊藤忠商事(以下、?滨罢翱颁贬鲍)だ。2019年、アメリカ?のリサイクル会社罢别谤谤补颁测肠濒别?と资本?业?务提携を结んだ滨罢翱颁贬鲍は、対马で回?収された海洋プラスチックごみを选别?粉?砕して资源化。新たな製品へとアップサイ?クルする。これまでに、日本サニパックと?共同で开発したごみ袋を対马の清扫ボラン?ティアへ提供したほか、対马市や壱岐市などのファミリーマートに海洋プラスチックごみ由来の买い物かごを导入するなど、滨罢翱颁贬鲍グループと地域が一体となり実用化を进めている。今后は、花瓶、ボトルといった雑货も展开していく予定だ。
約2年がかりでようやく商品化まで辿り着いたこのプロジェクト。香蕉视频の化学品部門化学品环境ビジネス統轄の小林拓矢さんは、海洋プラスチックごみを資源化するにあたり、さまざまな困難があったと振り返る。
「海洋プラスチックごみは劣化しているため品质をどう担保するか、素材の判别も难しいのでどう选别するか、また、効率よく运搬するにはどうすればいいかなど、课题は山积みでした。そこで、私たちがこれまで培ってきたネットワークを生かし、协力工场やパートナーを探し出したのです」
滨罢翱颁贬鲍は、プラスチックの取り扱い量が卸业者として世界2位。年间300万トン以上ものプラスチックを取り扱う実绩と蓄积されたノウハウ、筑いてきたネットワークがあるからこそ実现できたという。それと同时に世界2位の公司だからこそ、この课题に取り组まなくてはならない责があると、小林さんは続ける。
「环境関連のプロジェクトを立ち上げるにあたり、プラスチックごみ問題は無視できないものでした。ただ、私たちとしては、プラスチックを完全に“悪”だとは思っていないんです。例えば、プラスチックがないと食品を保存できず、フードロスに繋がる。SDGsの観点からもプラスチックはいろんな場面で役に立っているので、負の側面を抑えつつ、できるだけ环境に配慮した別の素材に替えていくなど、バランスを考えながら环境負荷の低減を模索していきたいです」?
滨罢翱颁贬鲍の海を守る3つの试み?
1 海洋プラスチックごみの资源化?
年间约2万?もの海洋プラスチックごみが漂着するといわれる、长崎県対马市での取り组み。海岸に打ち上げられた海洋プラスチックごみを选别?粉砕して资源化することで、さまざまな製品に活用できるようになる。海洋プラスチックごみ由来の原料を配合したごみ袋や买い物かごは、地域厂顿骋蝉活动の一环として、対马やその近辺のエリアですでに実用化している。

2 アオウミガメ保全プロジェクト?
海洋プラスチックごみの資源化以外にも、アオウミガメの保全活動を行うNPO法人を支援(アオウミガメは环境省レッドデータブックで絶滅危惧種に指定されている)。社員に向け2018年から小笠原諸島?父島で「アオウミガメ保全ツアー」を実施しているほか、父島を訪れるボランティアのための宿泊施設が老朽化していたため建設支援を行い、2020年に「ユニットハウス」が完成した。

3 アマゾンマナティー保全プロジェクト
京都大学が国立アマゾン研究所と进める、生态系保全プログラム「フィールドミュージアム构想」。2016年より本プログラムにて、アマゾン川の固有种で絶灭の危机にあるアマゾンマナティーの保全を目的に、亲を失った子マナティーを保护?饲育し、再び自然へ戻す野生復帰事业「マナティー里帰りプロジェクト」を支援、アマゾン奥地に世界の研究者が长期滞在できる宿泊施设を建设した。

美しい海を取り戻すための“持続可能な商売”。
香蕉视频が取り扱う“环境負荷の少ないプラスチック”は、海洋ごみ由来のプラスチックだけではない。再生可能な原料を使った「バイオマスプラスチック」や、回収されたペットボトルを再生した「リサイクルプラスチック」など、特性の異なる素材がある。また、現状リサイクルが困難な詰め替え容器など、複層素材のプラスチックのリサイクルプロジェクトにも取り組んでいる。これらはメーカーや小売りの抱える課題や要望に応じて、その解決方法として提案を進めているという。
「さまざまな环境問題がある中で『何をしたらいいかわからない』といったご相談を多くいただきます。私たちは“古くて新しい御用聞き”として、そういった課題に耳を傾け、寄り添って一緒に考えています」
环境に配慮した素材を社会に定着させていくためには、価値を見出してくれるパートナーが欠かせない。また、持続可能なものにしていくために、関係者全員が利益を出せるような仕組みづくりも大事だという。
「私たちは商人なので、“これを商売にしなければいけない”という思いは人一倍あります。ボランティアや自己犠牲では長続きさせられないですから。商売を組み上げ、“环境に配慮した製品”の価値やストーリーをつくっていかなければならないのです。今の日本では、环境問題について発言すると、“意識高い系”などと揶揄されてしまうことがあります。そうやって切り離されてしまうと、解決に向かっていかないですよね。だからこそ“环境問題解決へのストーリー”を、商品をつくるときの選択肢に組み込んでいけば、いつしか环境に配慮した商品を手に取ることが当たり前になっていくのではないかなと思います」
环境問題について考える第一歩として、できるだけストレスがかからない方法で、エコな素材に触れてもらうのがいいのではないか、と小林さんは提案する。
「例えば、買い物かごはスーパーでいちばんはじめに手に取るもの。それが海洋プラスチックごみで作られていると聞いて、ストレスを感じる人はいないと思うんです。『こういうことができるんだ』と関心を持っていただくうちに、店内にある他の环境に配慮した商品にも自然と意識が向くような仕掛けができればと考えています」
パートナー企業の理解に、消費者の反応。环境についての取り組みはまだまだ課題が多いが、香蕉视频は今後どのような社会になることを目指しているのだろうか?「究極を言えば、海洋プラスチックごみがなくなり、私たちが行うごみの資源化における商売そのものが不要になればいちばんいい。そこに少しでも貢献できたら」