アマゾンの生态系保全プログラム支援

伊藤忠商事は、伊藤忠グループ社会贡献活动基本方針の一つとして「环境保全」を定め、环境保全活動を積極的に行い、社会の持続的な発展に貢献しています。2016年度から新たに、京都大学が国立アマゾン研究所と進めるアマゾンの熱帯林における生態系保全プログラム「フィールドミュージアム构想」を支援しています。
背景

© / CC BY-SA
热帯雨林は、地球の陆地面积のたった6%ほどですが、全生物种の半分以上が生息しているといわれている、地球上で最も生物多様性の高い生态系です。
特に、アマゾンの热帯雨林は世界最大で、地球上に残された全热帯雨林の半分以上に相当します。1999年からの10年间で1200种以上の脊椎动物の新种が発见されたことも知られていて、多くの生物种はその生态も未だ明らかになっていません。
ブラジルのアマゾン中心部に位置する大都市マナウスは、ソリモエス川とネグロ川の合流点に位置するため、周辺にはアマゾンでも特に多様で貴重な自然环境があり、多くの国立公園や保護区が隣接しています。しかし、現在その貴重な生態系が、都市の急速な拡大によって失われています。問題を解決するためには、絶滅の恐れのある生物やその生息环境の研究?保全、そして正確な情報にもとづいた地域住民への环境教育を行うことによって环境に配慮した社会作りと維持が不可欠です。
プロジェクト概要
国立アマゾン研究所(滨狈笔础)は、この地域最大の国立研究机関で、特にアマゾンの生物学において名高い研究が行われていますが、保全に必要な各种研究と研究者养成が遅れているのが现状です。京都大学が国立アマゾン研究所と进める「フィールドミュージアム构想」では、日本が得意とする先端技术を利用して、保全のための研究や施设整备を日本とブラジルが共同で行い、これまで研究が困难だったアマゾンの水生生物(カワイルカ、マナティー)や热帯雨林上层部の研究等、多様な生物や生态系に関する保全研究が飞跃的に进むことが期待されます。この「フィールドミュージアム构想」では、博物馆のように従来の「箱もの」に展示物が入っているというスタイルではなく、贵重な生态系が身近に広がるマナウスの立地条件を活かして、地域の自然や人々の営みそのものを展示物とみなし、研究?保全?普及活动を行うことで、地域社会の持続可能な発展に寄与することを目指しています。
伊藤忠商事は、アマゾンの生态系保全のため、フィールドミュージアム构想のアマゾンマナティーの野生復帰事业と、「フィールドステーション」の建设を支援しています。このプロジェクトは、日本の国立研究开発法人科学技术振兴机构(闯厂罢)と独立行政法人国际协力机构(闯滨颁础)が共同で実施している、地球规模课题解决と将来的な社会実装に向けて日本と开発途上国の研究者が共同で研究を行う3~5年间の研究プログラム、厂础罢搁贰笔厂(サトレップス)プロジェクトの一つです。

アマゾンマナティーの支援活动

絶灭の危机にある大型水生ほ乳类アマゾンマナティーは、鲸类と异なり完全な草食性でアマゾン川の固有种です。过去の大规模な乱获により生息数が激减してしまい、法律によって保护されている现在でもなお、食肉目的の密渔に伴う负伤等により、保护されるマナティーが后を絶ちません。
1972年より、国立アマゾン研究所は、アマゾンマナティーの保护?饲育を行っており、京都大学野生动物研究センターは、国立アマゾン研究所と共に、保护されたマナティーを再び自然へと戻す放流事业の确立を目指しています。
国立アマゾン研究所で保護されているアマゾンマナティーは約60頭(2016年1月時点)で、水槽内も飽和状態になっており、マナティー個体数回復の一環として、2008年に保護?飼育個体を再び野生へ戻す放流事業を立ち上げました。アマゾンマナティーはその生態の全容が明らかになっていないうえ、2016年までに国立アマゾン研究所では4頭しかマナティーの放流を実施できていません。そして放流した飼育個体は、自然环境下で自力で餌を見つけて食べるのが難しいことが確認されており、衰弱して再び保護された個体もいます。さらに、アマゾン地域には雨期と乾期があり、雨が多く降る雨期には餌植物が豊富で、川での移動も容易ですが、雨が減少する乾期になると、川の水位が下がり、多くの支流が陸地となってしまうため、マナティーの移動は制限されます。この干上がった場所に野生のマナティーが取り残されることで死亡することも報告されています。乾期には餌植物の種類や量も激減することが知られており、このような环境変化を学んでいない飼育マナティーにとっては、放流後に野生へ適応するのは簡単ではありません。放流を成功させるためには、マナティーにとって最適な方法を開発、確立することが必要です。また、放流後の行動を調べて、自然への適応を評価するための新たな手法の開発も行なっています。当社は、このアマゾンマナティーの野生復帰事業を支援しており、「マナティー里帰りプロジェクト」と称し、当プロジェクトにおける3年間の成果指標を以下の通り定めています。この取組みは、「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標15で定められている生物多様性の損失の阻止に繋がります。
アマゾンマナティーが野生に戻るまで


フィールドステーション


アマゾンの熱帯雨林は、地球上で最も生物多様性に富んだエリアの一つですが、特に、クイエイラス川上流地域には、多種多様な動物が生息しています。このアマゾンの貴重な生態系の研究を進めるため、国立アマゾン研究所の保護区、クイエイラスエリアに、「フィールドミュージアム构想」の主要施設の一つである「フィールドステーション」が建設されました。伊藤忠商事は、施設内の食堂や展示会場等来場者が集う施設(ビジターセンター)を建設?整備するための資金19百万円をJICAへ寄付、2018年3月に自然観察?研究の拠点として完工しました。当施設はアマゾンの熱帯雨林研究では世界初となる浸水林からテラフィルメ(水没しない地域)までの動植物長期モニタリング研究拠点となり、また、研究者以外の来場者にも豊富なアマゾンの動植物を触れ合う機会を提供するビジターセンターです。2018年5月8日には現地にて開所式典が開催され、同式典には山極 壽一京都大学学長、猪股 淳伊藤忠中南米総支配人らが参加しました。
フィールドステーションには、約500人/年の来場者を予定しており、地域住民への环境教育及び啓蒙を図ります。建設にあたっては、アマゾンの原生林ではなく二次林の地域を選び、INPAが事前に周辺自然环境の調査にて希少種の不在を確認した上で、政府関係機関の許可を取得し、环境に十分配慮して建設を進めました。この施設を通じて、アマゾンの熱帯雨林に生息する多種多様な動植物?豊かな自然と触れあう機会を提供し、地域住民や観光客の方々への环境教育に貢献します。
なお、これら取组みは闯滨颁础において产官学が协力してアマゾンの生态系保全に取组む初めての事例となります。2018年7月には、ブラジル公式ご访问中の秋篠宫眞子内亲王殿下が、国立アマゾン研究所をご访问、アマゾンマナティーを视察される等现地でも大きな注目を集めました。
予定されている研究テーマ
- デンキウオ及び小型鱼类の生态に関する研究
- 音响技术を用いた河川の水中音の季节変化等の研究
- マナティーの野生復帰に関する研究
- センサーカメラを用いた哺乳类、鸟类の生态调査
- 浸水林や森林の植物相の解明